2015年4月11日土曜日

『春の海』とヴァイオリン。

     おそらく箏と尺八の音楽ではもっとも日本人に馴染みのある『春の海』ですが、作曲された当初は意外なことに宮城道雄の家族には不評だったようで『出だしの尺八のメロディーが俗っぽい』…などと言われたそうです。

     そんな『春の海』ですが、作曲から約二年後、宮城道雄とフランスの女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーによって演奏され好評となり、また二人の演奏によるレコードも作られ大ヒットし、国外でも発売されました。今でこそ日本の楽器と洋楽器の演奏は当たり前になりましたが、それが昭和7年の事ですからその先進性に驚きます。

   その当時、フランス人のヴァイオリニストが『春の海』を演奏したいと思ったのは、宮城道雄の作品が日本的な抒情を表現するだけでなく普遍的な音楽としての魅了を備えていたからだと思います。現在でも箏・尺八奏者にとって重要なレパートリーであることは言うまでもなく、ヴァイオリンやフルートなどの洋楽器によって演奏され、多くの人に受け入れられていることがその証明だと思います。
  
     

     

    

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